商標

商標を登録せずに長く使っているだけでは駄目です。

 「うちの登録商標に似ているのでその商標の使用をやめて下さい」

 突然このようなことを言われたらどうしますか?「いや、うちは○○年以上も前からこの商標を使っているのに何を今更?」、「相手の商標は最近登録されたんだ。うちはずっと使い続けているから大丈夫じゃないか?」等の疑問が湧くのももっともです。

 しかし、登録商標に対抗するには商標を長年使っているだけでは不十分です。対抗するためには、使用している商標に周知性が求められます。何故なら商標法は需用者の利益を目的の1つとする法律です。長年使っていても、周知性が無ければ需用者に混同が生じず、貴方が商標を変えても需要者にとって不利益が発生しません。

 つまり、貴方が使っている商標に周知性があれば、需要者は「あれ?今度発売された商品Aは、商品Bと名前が似ているぞ。商品Bを買おうと思ってお店に行ったけど、間違って商品Aを買っちゃったよ」という混同が生じ、不利益を被る可能性があります。ここまでいけば、登録商標の登録は、需要者に混同を生じさせることになってしまったので誤っていた(無効にすべき)となります。しかし、周知性の判断基準は厳しく、単に新聞に掲載された、お店のウェブサイトに毎月一定数のアクセスがある程度では、認めてくれません。

 しかも、第三者に商標を登録されてしまうと、対抗手段が非常に限られ苦労します。冒頭のような相談を受けた際に「そんなに大切な商標ならどうして登録しておかなかったのですか?」と何度心の中で呟いたか分かりません。