何故商標登録が大切なのか

商標権を取得すると、どのようなことが可能となるのでしょうか?
「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する(商標法第25条)」とあります。

つまり、商標権を取得すると、出願時に指定した商品又はサービス(役務)の範囲で独占的に(安心して)商標を使用することができるようになります。

次に、他人が勝手に商標を使うとどうなるのでしょうか?
「商標権者は、自己の商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(商標法第36条)」とあります。

つまり、法的な権利に基づき、他人に商標の使用の停止等を求めることができることになります。

また、他人が勝手に商標を使うことにより、商標権者の商品やサービスの売り上げが落ちている場合(例えば、他社の粗悪な商品に登録商標が勝手に付されているため、商標権者に苦情が殺到している場合等)は、どうでしょうか。

この場合は、民法709条に「故意又は過失によって他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています。ここで言う「他人の権利」とは商標権も該当し、商標権者は商標権を侵害した者に対し、落ちた売り上げについて損害賠償を請求することができます。

以下、実際にあった相談例に基づき、何故商標登録が大切なのかについて考えてみます。
(理由1)商標の取得を怠った場合、事後的に自己の商標が使えなくなるおそれがある。
例え自分がある商標(仮に商標Aとします)を使い続けていたとしても、商標Aが周知でなく、商標権を取得していなければ、その分野において商標Aまたは商標A似ている商標(仮に商標Bとします)について他人が商標権を取得することが可能です。
商標Bを取得した商標権者は、取得した商品またはサービスの分野において、あなたに「商標Aを使うことを止めてください」と言えるようになります。
このため、商標権を持っていなければ事後的に自己の商標が使えなくなるおそれがあります。
そうなると、自分が今まで使い続けてきたお店の名前や商品名を変更しなければならないケースもあります。せっかく今まで築いてきた信用が損なわれてしまいます。これは現実にある話です。

(理由2)他人がわざと、商標Aの信用を貶める理由で品質の低い商品に商標Aの名前をつけ販売するようなケースもあります。
この場合、商標権を持っていなければ、他人に使用を止めてくれという根拠に欠けます(不正競争防止法という法律により救済できるケースがありますが、立証が困難な場合があり、使い勝手は商標を登録した場合に比べ劣ります)。

商標権を取得する場合、通常であれば早くても出願してから約半年程かかります。理想を言えば、製品の出荷、サービスの開始から半年前に出願しておくのが好ましいと言えます。

しかしながら実情は、商品、サービスの使用開始ギリギリになってようやく商標登録出願をするケースも散見します。そのようなお客様が商標権を早く取得する手続きとして「早期審査」という手続きがあります。詳しくはご相談下さい。

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