実用新案登録出願

実用新案登録に係る費用

実用新案登録が特許と異なる点

 

実用新案法は、特許法と同じくアイデアを保護する法律ですが、以下の点が特許法とは異なっています。
(1)物の発明に限る。
特許法の保護対象は、物(プログラムを含む)の発明、方法の発明、製造方法の発明が含まれますが、実用新案法の保護対象は、物品の形状、構造等に限られます。

(2)実体審査がない
特許出願は、特許庁の審査官が実体審査を行いますが、実用新案登録出願は、基礎的な要件のみ審査されます。そして、基礎的な要件を満たしていれば、実体的な審査(その出願内容が本当に新しいか等)はされずに登録になります。

(3)存続期間が短い。
特許権は出願から最大で20年存続できるのに対し、実用新案権は、出願から最大10年しか存続できません。

(4)権利の有効性が担保されない。
上記(2)にて述べたように、実用新案登録出願は、実体的な審査がされずに登録になります。このため、権利の有効性が担保されないまま権利が発生してしまうので、いざ権利行使しようとするときに様々な制限があります。

(5)費用が安い
 実用新案は、出願しただけで登録されますので権利化までの費用は大体25万円程度と、比較的安価なものになります。これに対し、特許は、出願しただけでは特許になりません。特許庁に特許になるかどうかを審査してもらって初めて特許になります。審査してもらうためのお金が別途必要となります。また、審査してもらった結果、審査官とのやりとりが発生する場合があります。 

 

特許か?実用新案か?

 上記(4)の理由により、非常に使い勝手が悪く、弊所では基本的には実用新案登録出願をお奨めすることはありません。
 実際、出願件数も特許出願が年間約30万件なのに対し、実用新案登録出願は、年間約1万件と非常に少なくなっています。
 しかし、全く有効ではないとは言い切れず、実務レベルでは有効なケースも見受けられます。
 実用新案登録出願をするケースとしては例えば以下のケースが挙げられます。
(1)牽制の意味で何かしらの権利が欲しい。
(2)物の構造で恐らくありふれた物に該当するが、便宜上出願はしておきたい。
 なお、3年以内であれば、実用新案登録に基づく特許出願が可能です。このため、とりあえずは権利を発生させておき、その後、特許権による保護を受けることを希望することもできます。

実用新案登録に係る費用