前回、特許事務所に全てお任せではダメですという記事を書きました。

今日はその続きです。 今回は、 発明者と発明と弁理士との関係を競馬に例えてみます。

完全に私の勝手なイメージですが、例えやすいのでお許し下さい。

発明:馬です。大発明=凄い馬 小発明=普通の馬 特許にならないアイデア=未勝利馬といった感じでしょうか。

発明者:馬主です。騎手を選ぶことができます。

弁理士:調教師兼騎手です。馬主の意向に応じて調教および騎乗します。

調教師は、馬主との良い協力関係を結ぼうと努力します。同様に、弁理士も発明者との良い協力関係を結ぼうと努力します。

馬主はもちろんのこと、調教師も過去の傾向から馬の素質を見抜きます。特許の場合、弁理士は、先行技術調査を行うことにより、発明が特許となる可能性(素質)を判断します。先行技術調査の結果、特許になる可能性が低い発明は、そのままの状態で特許出願しないようにします。

調教師は、馬の能力を最大限に引き出すため、馬のコンディションをみながら調教していきます。また、場合によってはメンコやシャドーロール、蹄鉄の打ち方等、馬の弱点を補う工夫をします。特許の場合、弁理士は、発明者と上手くコミュニケーションを取りながら発明のバリエーションを増やしていきます。

レースにおいては、騎手は馬主の意向に従いながら上手く馬をエスコートし、ベストの走りができるように努力します。また、ペース配分や他の馬との関係にも気を配ります。時には豪腕をふるい、ゴールに導きます。

名馬であれば騎手を問わずに(騎手の能力が多少悪かろうと)乗っているだけで勝てます。つまり、大発明であれば、特許明細書の書き方が多少まずかろうと、特許査定になります。

しかし、名馬はそうそう現れるはずもなく、大部分は普通の馬もしくは素質のない馬です。騎手の腕が良ければ、普通は勝てない馬も勝ってしまうことがあります。これを特許に例えると、腕の良い弁理士であれば、当然質の高い明細書を記載したり、審査官とコミュニケーションを取ることにより、特許になりそうな落としどころを探したりします。また、時には権利範囲をガチガチに限定してごり押しします。これにより、特許査定の確率を高めます。

また、特許査定後の話も競馬に例えるとこんな感じになります。

引退してから(特許になってから)も、種牡馬となって自家生産やライセンスで稼ぐことができます。

この場合、名馬≠名種牡馬ではありません。

活躍した牝馬との間に産まれた子供でもさっぱり駄目なまま終わってしまう種牡馬もいれば、現役時代はさほど活躍しなかったのに牝馬を問わずに活躍馬を出す種牡馬もいます。

これを特許に例えると、さほど大発明だとは思わない特許でも、時代の流れに沿った発明であれば需要が多く、多くの利益をもたらしてくれるはずです。

多少強引なところもありましたが、馬主、馬、調教師、騎手が良好な関係を保つことで、良い成績をもたらしてくれるように、発明者、発明、弁理士の関係を深めることで、権利化の可能性も格段に変わってくることが少しでも伝えられれば幸いです。

弁理士 井上真一郎