国際特許出願が増えてきました

弊所も4年目に入り、少しずつ外国出願が増えてきました。

外国出願のルートは大きく分けて2つのルートがあります。

1つは、出願時点で国を特定し、その国に直接出願するルート

もう1つは、出願時点では国を特定せず(一部例外あり)、出願し、折を見て出願する国を決定するルートです。

PCT

(図は、特許庁発行PCT国際出願制度と手続の概要-特許協力条約(PCT)に基づき国際出願の仕組み-4頁から抜粋)

一般的に前者は、出願する国の名前をそのまま取って、例えば米国に出願する場合は米国特許出願、中国に出願する場合は中国特許出願と言います。他方、後者は、国際特許出願(PCT出願)と言います。

特に意識していなかったのですが、3年目位からポツポツと国際特許出願(PCT出願)の依頼が増えてきました。

国際特許出願のメリットは色々ありますが、日本語で出願できることが一番ではないでしょうか。直接外国に出願する場合は、その国の言語に翻訳する必要がありますが、国際特許出願の場合は、日本語で出願することができますので、翻訳にかける時間と費用を節約できます。このため、優先権主張を伴う特許出願の場合、時期的なリミット(基礎出願から12ヶ月)ギリギリまで外国出願の是非を判断することができます。

また、国際特許出願をした場合は、調査が行われ、「見解書」という特許取得可能性を示すレポートが発行されます。そのレポートを見てから、それ以降の手続きを進めるかどうかを判断できます。実質的な審査が始まる前にレポートを受け取ることができるのは、メリットの1つと言えます。

また、国際特許出願をする場合、特許庁が示す中小企業の要件を満たせば、国際特許出願時に特許庁に支払う費用が1/3になります(時限措置)。これも大きなメリットになります。

デメリットとしては、指定する国が1つ(例えば米国のみ)の場合は、直接米国に出願する場合に比べて費用が割高になる可能性があります。

 

 

特許査定の後に気をつけること

特許出願をして、特許査定(特許を許可する旨の通知)が来ると、ホッと一安心ですね。あとは、特許料を納付すれば、特許権が発生します。

但し、特許料を支払う前に気をつけることがあります。それは、「特許明細書の中に特許にしたい別の発明が含まれていないか」ということです。

以下、分かり易いように発明Aと発明Bの2つの発明を仮定します。

1つの特許出願で特許にできるのは1つの発明であり、別発明であれば基本的には別の特許出願をすることになります。但し、予算的な問題があったり、別発明について特許をとるか悩む場合は、とりあえず今回出願する特許明細書内に発明Aと発明Bの両方を書いておき、特許請求の範囲(請求項)には、発明Aを書いて審査を受けるという戦略があります。そして、状況に応じて発明Bを特許請求の範囲に記載した分割出願をし、発明Bについても審査を受けるという戦略があります。

但し、分割出願ができる時期的制限があります。発明Bの分割出願のリミットは、特許料を納付する期限内(厳密には、特許査定の謄本の送達があった日から30日以内)です。

分割出願をしないまま発明Aの特許について特許権が発生してしまうと、発明Bを特許にすることができなくなってしまいます。発明Aが特許になったと喜んでいると、ついつい忘れがちです。

なお、発明Aと発明Bが別発明かどうか微妙な場合は、発明Aと発明Bの両方を特許請求の範囲に記載するという方法があります。その場合、審査官は、発明Bが別発明と判断した場合は、発明Aだけを審査し、発明Bについては審査をしないという拒絶理由通知(特許法第37条)を発行します。この時点で発明Bを分割出願するか否かを考えるという方法もあります。

 

地域団体商標

地域団体商標は、文字のみで表された(地域名+一般名称 例:天草ぶり)の組合せ等、通常は登録できない商標※であっても。

一定の条件を満たすことにより、登録が許可された商標です。

従来は、このような商標は登録できなかったため、悪意の第三者の使用に対して、使用を停止させることが難しかったのですが、地域団体商標制度を利用して商標を取得することで、

悪意の使用に対しても法的拘束力を持つ使用の停止を求めることができるようになりました。

先日、弊所が出願した地域団体商標について、ようやく登録査定が下りました。出願してから述べ2年、手続補正2回、審査官は3人変わりました。

調べたところ、登録が九州経済産業局のホームページにも記載され、ちょっとしたニュースになっているようです。、

 

地域団体商標を商標登録出願する際にいくつかの書面を提出する必要がありますが、その1つに「出願する商標が、周知性を満たしていることを証明する書面」があります。

この書面の提出が、なかなか面倒です。一応特許庁側は、どのような書面を提出すればよいかの一例を挙げていますが、言われた通りの資料を提出したとしても、恐らく不十分と言われる可能性が高いものと思われます。

一般的に、地域団体商標の出願は、提出資料の不足があった場合、すぐに拒絶査定となることはなく、拒絶理由通知を出して出願人に資料の提出の機会を与えるそうです。しかし、何度も拒絶理由通知をもらうと、その分、登録になるまでの期間がかかってしまいます。

一度、経験をすると、次はどのような資料を出せばよいのかが、こちらでも把握しやすくなるため、審査期間の短縮に努め、お客様に早く登録査定を届けたいと思います。

 

※地域名+一般名称を登録すると、その地域で使っている他の人が困るため、一私人に独占させるのは妥当ではない。また、そもそも地域名+一般名称の組合せでは、誰の商標なのかが特定できず、需要者に不都合が生じるということから。

商標の審査が早くなっている(気がする)

今までは、商標の審査にかかる時間はどれくらいですかと聞かれたとき、約4~6ヶ月かかります。と答えていました。

しかし、最近は、出願から4ヶ月以内に結果が送られてくる商標もかなり増えてきました。

ここまで早くなると、早期審査をかける意味が果たしてあるのかなぁと思ってしまいますね。

但し、早く結果が送られてくる案件には条件があるような気がします(※あくまで体感です)

それは、調査した結果、自信をもって、登録可能性が高いと言える商標です。

出願してみないと分からないグレーゾーンの商標については、やはりある程度時間を要するようです。そのような

商標について、早く白黒つけたい場合は、早期審査は有効でしょう。

 

アクティブ特許商標事務所は4年目を迎えます。

アクティブ特許商標事務所は、4月11日で4年目に突入いたしました。

3年間、あっと言う間でしたが、無事に3年続けられたことを嬉しく思います。

色々な方からのご紹介なしでは、とても続けられませんでした。

4年目は、この3年間でできなかったこと、特にお客様に即した料金体系や、サービス面の向上に努めたいと考えています。

これからもアクティブ特許商標事務所をどうぞよろしくお願いします。