展示会での公表には注意
先日、顧問先が製品を出展した展示会に足を運びました。顧問先のブースを拝見してしばしお話しさせて頂いた後に、「折角新しい技術を見る機会だ、これで帰っては勿体ない」と思い、他のブースも色々と見学しました。その際、他社の営業や技術の方と話をして気づいた点がありました。
①社名や製品名を外国で使おうとしているが、商標登録を意識していない。
→他人に商標を取られると、自社の製品名が使えなくなるおそれがあります。一度他人に取られた商標を取り返すのは非常に困難です。売上が伸びて商標が有名になるほど、危険性は高まります。言い方は悪いかもしれませんが、日本では弱点(本例では商標の未登録)を突くと「卑怯だ」という考え方もありますが、外国では「つけ込まれる隙を見せた方が悪い。」という考え方を持つ国が多いのです。
取り換えそうとしても「御社にどういう権限(権原)があってそういうことを言うのか」と言われてしまえば、「昔から使用してきた」、「こちらがオリジナルだ」という言い分は全く通用しません。「それは商標登録を許可した特許庁に言え、我々は正当な手続を踏んで商標を取得したのだ」と言われるのは明らかです。
②技術がありふれているがデザインに特徴があるものについて、保護を予定していない。
→模倣されてしまうおそれがあります。デザインを保護する権利として意匠権があります。公表した後でも6ヶ月以内であれば保護できる可能性があります。(※2021年現在では公表した日から1年以内でも保護できる可能性があります)
③初対面の私にもある程度うち解けて来ると、「ここだけの話」と言いながら、社内の実情を話してくれる。
→「凄い技術ですね」、「さぞ試行錯誤して努力なさったでしょう」等と持ち上げられれば、気分を害する人はいません。「実はね・・・ここがこの製品のキモなんだよ」という風に特許出願した製品であっても、特許書類には記載されていないノウハウまでしゃべってしまうリスクがあります。
聞かれるとつい喋りたくなる。話さないと商機を逃してしまう。という気持ちは十分に分かりますが、これ位は良いだろう、とついつい余計なことを話してしまうことがあります。どこまで話してよいのかを予め決めておく必要があると思います。