手続
名義変更と移転
特許出願や商標登録出願後に出願人の名義を変更したいケースがあると思います。
その場合、権利化前は、名義変更手続きを行い、権利化後は権利の移転手続を行います。
どちらが簡単かというと権利化前になります。
従って、手続きをする場合は、権利が発生する前がいいでしょう。
では、どのタイミングで名義変更手続きをするのが良いでしょうか。
特許であれば特許査定が降りたタイミング、意匠や商標であれば登録査定が降りたタイミング
が良いと思います。
当然ながら出願した案件が100%権利化できる訳ではありませんから、費用が無駄にならないタイミングで名義変更手続きをするのが良いでしょう。
特許料や登録料を支払う際に名義変更手続を行った旨を記載すれば、特許証や登録証に名義変更後の権利者が記載されます。
特許証や登録証が届いた後は名義変更手続はできません。権利の移転手続を行う必要があります。
この場合、特許庁に支払う印紙代だけで¥30,000かかってしまいます(ちなみに名義変更の印紙代は¥4,200です)。
さらに、権利の移転の際には、権利化前には考えなくてよかった利益相反の問題が発生します。
例えば、会社の代表取締役が、会社が取得した権利を勝手に個人のものにすると、会社が損をしてしまいます。
このため、会社は適正な手続きを踏んで権利を個人に譲渡したという証明が必要になります。
この書類も慣れていれば簡単に作成できるのですが、慣れないうちは、結構苦労します。
※3月14日追記
弊所は今年の4月で丸4年を迎えますが、これまで名義変更手続きはゼロでした。しかし、不思議なもので、今年に入って名義変更手続きのご依頼が立て続けに3件ありました。
この手の手続きミスで多いのが、
1.以前特許庁と手続きをしたときに用いた印鑑と違う
2.印鑑を押し忘れた
3.法人なのに署名を代表取締役としてではなく個人としてしてしまった
4.代理人(弁理士)に依頼した際の委任状がない
5.印紙を貼り忘れた(印紙の額が違った)
等があります。
私も最初はおっかなびっくりでしたが、一度やった手続きは手元に記録が残りますから次からは安心して実行できます。
所感として、この手続きを個人でやるのは、結構な手間がかかると思います。
用意された書類をみれば、大したことがないように見えますが、状況によって用意する用紙が異なりますので、
この手の手続きは専門家に依頼するに越したことはありません。