特許

実用新案登録のデメリット

特許と実用新案の違いを比較した記事は多数存在します。

保護対象の違い、審査の有無、存続期間、権利の安定性等。色々ある中で、私が特許に比べて実用新案登録が最も不利だなと感じる点は、実用新案登録出願が早期に権利化されるとともに公開されてしまう点にあると思います。

早期に公開されると、優先権主張の基礎とすることができません(特許法第41条第1項第4号)。また、実用新案登録出願に基づく特許出願をすることはできますが、この出願は優先権主張の基礎とすることができません(特許法第41条第1項第2号)。

上記の制度があるために、以下のケースでとても困ることになります。

とりあえず権利を押さえておきたいが、費用の問題などで、比較的安価な実用新案登録出願をして登録できた。登録後に改良発明を思いついた。この発明について、今度は特許を取得したい。

上記のケースでは、実用新案登録出願とは別個に特許出願をする必要があります。また、先に登録された登録実用新案により、後の特許出願の進歩性が否定される可能性が出てきます。

1件目の出願が特許出願であった場合はどうでしょう?

1件目の特許出願から1年が経過しておらず、かつ、特許公報が発行される前であれば、1件目の特許出願を優先権主張の基礎とする出願が可能です。

権利が固まり、これ以上の追加発明はないと言い切れるケース以外は、特許出願をした方が良さそうです。