商標

キャッチフレーズは商標登録できません

こんにちは。八王子で頑張る弁理士の井上です。

先日識別力のない商標は登録できない旨の記事を書きました。本記事はその補足となります。出願した商標がキャッチフレーズであると特許庁が判断した場合、その商標は登録することができません。キャッチフレーズが何故登録できないかと言うと、大きな理由は、誰の商標であるか識別力がないという理由です。

ここで、キャッチフレーズは広辞苑によると「人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句。惹句(じやつく)。」とあります。例えば、「俺より強い奴に、会いに行く」「きれいなお姉さんは好きですか」、「やっててよかった公文式」、「いつかはクラウン」等がキャッチフレーズであると判断されています。

著者:井上真一郎

※2014年1月10日追記

但し、使用により、誰の商標か需要者が識別できるようになれば、商標登録を受けることができる可能性があります。理由は誰の商標であるか識別力がないという理由が解消されるからです。前回原則を記載しましたが、例外も記載しておくべきでした。申し訳ありません。この例外の適用を受けるためには一地方で周知では足らず、全国的な周知性が必要であるとされています。

※2015年1月30日追記

キャッチフレーズかどうか、判断に悩む商標が一発で(拒絶されることなく)無事に登録になりました。調査時には、一発登録は難しいと判断していただけにとても嬉しいです。この経験から分かることは、微妙な場合は、とりあえず商標登録出願をして様子を見ることも大切だということです。もちろん費用はかかりますが、商標登録できなかったデメリットよりも商標登録できたときのメリットの方が大きいと思います。

正直、登録されるケースと登録できないケースは、何が違うのか分からないものもありますが、登録される可能性が高いものの共通する特徴としては、
(1)取引上普通に使用されているものではないこと
(2)指定商品の品質等を直接的ないし具体的に表示するものではないこと
(3)比較的短い文章で構成されていること
が挙げられます。

※2018年2月7日追記

昨年、キャッチフレーズに対する運用が新たに発表されました。

(1) 出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、登録を受けることはできない。
出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等としてのみならず、造語等としても認識できる場合には、登録を受けられる可能性がある。
(2) 出願商標が、その商品又は役務の宣伝広告としてのみ認識されるか否かは、全体から生じる観念と指定商品又は指定役務との関連性、指定商品又は指定役務の取引の実情、商標の構成及び態様等を総合的に勘案して判断する。

上記(1)、(2)により、インターネットを検索してもそれらの用語が出てこない場合は、登録を受けられる可能性があると判断できます。

また、拒絶理由通知が発せられた場合でも、「出願した商標は、造語として認識でき、通常の取引に用いられていない」という反論が有効となります。